朝方に眠りについて、昼過ぎに目覚めました。
起きてからしばらくは天井を眺めてぼうっとしていたように思います。
そしてほんとに突然、歯が痛み始めたのです。
歯というよりは左顎全体に激しい痛みがやってきたのです。

これまでに感じたことのない、普通に立ち上がれないほどの痛みでした。
自然と、よだれと涙が溢れ出しました。
蹲るような姿勢でほとんど這うようなかたちで、とりあえず洗面台に向かいました。
頬を抑えながら「うご、うごおお、おおおお」と尋常じゃない激しい呻き声をあげていました。
それでもただの虫歯だと思い、試しに歯ブラシで口の中をガシガシやってみたのですが、歯の表面に触れても全く痛みを感じません
歯の中が痛いのだと思いました。
この時ボクは、いつもの痛み方と違うことに対して、ひどく動揺していました。
唐突な痛みから半ば錯乱状態にあったためか、冗談じゃなくなにかの病気かもしれないと思ったのです。もっと言ってしまえば、死という言葉が頭に浮かんでしまったほどです。
大袈裟かもしれませんが、それほどの激痛でした。

そんなことをやっていると、親がやってきました
ひどく驚いた顔をして、どうしたの?と訊きます。
その時のボクはよだれを流しながら号泣していました
問いに答えようにも、もう普通に喋ることができません。
「歯、ああ、うおお、お、あああ」というようなことを言うと蹲ってしまいました。
歯を抑えていたので何が言いたいのかがあっさり伝わったようで、「歯医者行きなさい」と言われました。
泣きながら頷くとすぐに準備をして家を出ました。
時間にすると、目覚めてから十分も経っていなかったと思います。
ほとんど寝間着の恰好で財布と携帯だけ持つと歯医者まで歩きました。
道を挟んで家の向かいが歯医者なので、一分ほどで着きました。


ドアを開けると歯医者の受付へ向かったのですが、この時ボクは完全に泣いていました
そして、まずスリッパに履きかえるのを忘れ「履き替えてください」と注意を受けます。
さらにドアの勝手がわからずに引き戸をガンガン押してしまいました。
受付の女性が少し笑っていたように思います。

保険証などを提出して順番を待っている間も、頬を抑えながら少しだけ声を出して呻いていました。
簡易なアンケートのようなものを書かされたのですが、そこには無職と記入しました。
さらに、ボクは髭も剃らずニートのような風貌をしているため、もしかしたら気持ち悪いやつと思われていたかもしれません。

名前を呼ばれ一番奥の椅子に座らされると、また少しだけ待たされました。
この間も絶えず歯が痛み、じっとしてられず体を揺すっていました。
なんか暇そうなかわいい女性アルバイトみたいなのが来て「大丈夫ですか?」と訊かれましたが、これは無視しました。答える余裕もなかったんだと思います。
それに、ボクはどう見ても大丈夫じゃない挙動をしていたと思います。

その後、エラそうな若い先生がやってきて、「やばいね」普通に笑っています。
「だって泣いてるもん」と言う。
そしてやっと診察が始まります。
まず最初に麻酔(痛みどめだったかもしれません)を打ってくれました。
ここでようやくボクは落ち着きます


ただの虫歯でした。
レントゲンを撮って歯に薬を塗ってもらい帰りました。
5000円くらい取られました
本格的な治療は次回からということで、呑み薬だけ貰ったのです。
どうやら親不知を全部(4本)抜くそうです。
逃げ出したい衝動が止まりません。