gonin_01

GONIN(1995)が大好きだったので観てきました。
残念ながら本作には狂気も艶気もあまり感じられませんでした。
GONIN正統続編ということで、今回の五人は19年前の大越組襲撃事件に関わっていた人間と血縁にあるものたちです。
映画前半は前作からの繋がりを説明することに終始しています。
誰が誰の息子で、孫で、とたっぷり描写されていきます。
初見でもわかりやすく話を呑み込めるような作りになっています。
しかし説明の量が少し多すぎるようにも感じてしまいました。
公開前の惹き句に「もう、理性はいらない。」とあったので、自分としては勝手に、感覚で突っ走っている過剰な映画を想像してしまっていましたが、思っていたよりも理屈っぽかったです。
回想と現在を行ったり来たりで、その間も物語は徐々に進みつつ、という感じで本筋に入るまでにすごく疲れました。

冒頭は久松(東出昌大)のナレーションから始まります。
まるで小説のあらすじを読まされているかのようでした。
映画を観ている最中モヤモヤしてしまいました。
主人公であるはずの久松に対して生々しさを感じることができなかったからです。
そこに存在して生きているという感じがありません。
母を殺されて復讐に燃えるシーンがあるのですが、強烈な動機にも関わらず弱々しく、優男という印象が拭えませんでした。
幼馴染の大越(桐谷健太)に助けられながら最後まで引きずられるように行動しているように見えてしまいました。
自発的な「殺してやる」という強い意志が感じられなかったのが最も残念なところです。
メインキャスト五人に対していえるのですが、欲望に滾っている感がありません。
艶っぽさがないとも思ってしまいました。
話の筋云々よりもその辺りで気持ちが冷めてしまいました。

それでも、面白い場面はたくさんありました。
まず最初に、飯島大介があっさり撃ち殺されます。
とくに無残でもなく平然と死んで通り過ぎていきます。
こういう死に様が好きです。
死に際なにか喚いていた気もしますが何を言っていたのか覚えてないくらいに重みのない死です。
GONINシリーズにいつも出演している方なので、今回も出てきた。そして死んだ。よかった。ありがとう石井隆。といった嬉しい感情がこみあげました(よくわからない思い入れ)。
殺人描写はどれも面白かったです。
とくに印象的だったのが竹中直人と共に菊地(土屋アンナ)の部屋へ訪れる福島リラです。
冷蔵庫の中を覗きこんでいる最中、扉に頭部を押し挟まれ顔面血まみれになるという超面白い女性です。
その後幽霊みたいにヒラヒラ歩いていたりして恐怖と同時に爆笑できる素晴らしいシーンだったと思います。
今回の竹中直人はヒットマンとして登場します。
劇中最も危険な人物です。
訪問の直前、画面の隅に浴槽が映ります。
石井隆といえば何度も浴槽を戦慄の場所として使用しています。
なので今回もそれが登場した時点で、ここから修羅場だと思うと楽しくなりました。
しかし本作は緊張感のない修羅場が連続します。
一番ヤバいやつであるはずの竹中直人が全然人を殺しません。
GONINといえば前作の殺し屋ビートたけしが強烈でしたが、あれに比べるとだいぶ枯れています。枯れきっています。
肉食ってセックスしてる感じがありません。
要は、本能で動いている恐ろしさがありません。
ディスコでの銃撃戦までは狂気を感じることができませんでした。
自分としてはそこまでにだいぶ焦らされました。
ですが終盤に血まみれの福島リラと対面した次のカットで赤黒いビニール袋を抱えて登場する竹中直人には心底痺れました。
袋の結び口から僅かに黒髪が蠢いていたりして、一体なにがあったのか、そんなことを想像させる恐ろしい演出でした。
紅次郎と共にGONIN2の緒方拳なんかも思い起こさせる最高の瞬間でした。
ラストシーンはディスコ内での銃撃戦ですが、この場面にも雨は降ります。
劇中ほとんど絶え間なく雨が降り続いていますが、この辺徹底していると思います。
そしてエンドクレジット、最高です。
GONINのオープニングクレジットが蘇ります。
今回は空撮逆回しだったように思います。
それからハエと防弾チョッキとちあきなおみの使い方、どれも面白かったです。

いろいろ書きましたが、感想としては面白いところもあるけどそうじゃないところも多い、というよくある普通な感じです。
ただ血の撮り方はやっぱり最高ですし、前作キャストが映るだけでも気分はどうあってもアガります。
根津甚八の手演技には凄まじい執念のようなものを感じました。
指先だけでここまで凄味を出せるのかと、正直驚きました。
そして表情。
まるで実際に19年間眠っていたような、そんな風に見えました。
もし次作があるのならメインキャストは柄本佑残しで一新してほしいというのが願望です。
観ている間、ずっと名美を探してしまいました。
続編は本当に思い入れとの勝負なのかもしれません。